リレートーク ドーピングに反対するアスリートたちの声

第1回 鈴木大地さん

アンチ・ドーピング活動に関してスポーツ界全体の理解を深めるため様々な方から「リレートーク」形式で直接現場の声を皆さまにお伝えして行きます。 第1回目の今回は,ソウルオリンピック金メダリストの鈴木大地さんにインタビューしてきました。

競技生活でドーピングコントロールを受けた経験はありますか?

国内大会では、1988年のソウル五輪合宿、国際大会では、神戸ユニバーシアード(1985年)、ソウルアジア大会(1986年)、ザグレブユニバーシアード(1987年)、そして1988年のソウル五輪などがあります。

最も印象に残っているエピソードがあったら教えてください。

長島茂雄さんと鈴木大地さん(金メダルを獲得した)ソウル五輪のとき、ハプニングがありました。レース後、ドーピングコントロールのため検査室に行くと、リポーターを務めていた長嶋茂雄さんが「大地君、大地君!」とお祝いにやってきてくれたのです(写真)。しかし、検査室は関係者以外立入禁止。立ち入った場合は不正操作行為として失格になってしまいます。慌ててこちらから廊下に出ました。

選手としてすべきことは?

まず、病気をしても極力薬を避けて頼らないことです。そして医者にかかる場合には、スポーツ選手としての立場を理解してもらうようにしてほしい。そのためには、スポーツ選手ということが一目で分かるカードをつくっていけたらいいですね。どこの町医者に行ってもドーピングについて理解してもらえるようになってほしいです。 一方で、選手自身が知識を高めていくことが大事です。例えば怪しい栄養食品などの食物の摂取は避けるべきでしょう。そして、やはりトレーニングによって自信をつけることが大事なのではないでしょうか。 ドーピングコントロールは別に怖いものではありません。ただ、問題点として時間の拘束や、多量の水分補給、そして血液採取のことが挙げられます。特に、血液採取は、スポーツ選手にとって非常に大事なところでもあるので、血液の量が少量で済むなど医学検査の方法が改善され、検査が簡略化するようになるといいですね。

JADAの理事として

S・オニール選手の著書『Choose to win』の中に、「ドーピングは恥ずかしい事」「ズルの金メダルは何の意味も持たない」とあります。そのためには「啓蒙啓発活動が大事」で、そして「選手自身の自覚と常識に頼る他はない」とも。どうやって金メダルを取るのか、そのプロセスが大事で、ドーピングによって金メダルをとっても満足感やうれしさはこみ上げてこないし、意味がないのではないでしょうか。 アンチ・ドーピング活動は、教育や啓蒙啓発活動が重要です。選手だけでなく、コーチや家族、そして社会が一丸となって取り組んでいくことが大切だと思います。

ありがとうございました。

(聞き手:日本アンチ・ドーピング機構広報部会 伊藤リナ)
2004年5月26日(水)順天堂大学にて

鈴木 大地 氏 プロフィール
(すずき だいち)

  • 順天堂大学講師
  • 同水泳部監督
  • 競技歴
  • 1984年 ロスアンジェルスオリンピック出場
  • 1986年 アジア大会 100m背泳、400mメドレーリレー金メダル
  • 1987年 ユニバーシアード 100m、200m背泳金メダル
  • 1988年 ソウルオリンピック100m背泳金メダル
  • 社会的活動など
  • 2001年 (財)日本オリンピック委員会アスリート委員
  • 2003年 世界オリンピアンズ協会理事
  • 2004年 (財)日本アンチ・ドーピング機構理事
  • 第1回鈴木大地さん
  • 第2回田辺陽子さん
  • 第3回萩原智子さん
  • 第4回池田めぐみさん