リレートーク ドーピングに反対するアスリートたちの声

第3回 萩原智子さん

アンチ・ドーピング活動に関してスポーツ界全体の理解を深めるために様々な方から「リレートーク」形式で直接現場の声を皆さまにお伝えしていきます。
3回目は、田辺陽子さんからのご紹介で、水泳の萩原智子さんにインタビューを行ってきました。

初めてドーピング検査を受けた時のことは覚えていますか?

萩原智子さん世界短水路選手権で初めて決勝に残った時、ドーピング検査を受けることになりました。まだ何の知識もない高校一年生だったので、大変なことになったなあって。その時、一緒にいた大学生の先輩が「お前もやっとドーピング検査を受けられるようになったんだな。」って言ってくれたんですよ。それを聞いて、“ああドーピング検査を受けることってすごいことなんだ。トップ選手の仲間入りができたのかなあ。”って思えました。仮に「大変だね」ってマイナスな言葉をかけられていたらドーピング検査に対するイメージがまた違っていたと思うんです。前向きな捉え方をしてくれた先輩の一言が大きかったですね。

それまではトーピング検査のイメージはどんなものだったのですか?

怖いものだと思っていました。知らない人にどこかに連れて行かれて囲まれるって(笑) 私が高校生の頃はドーピング検査に対する特別な教育もなくて、選手の間でも変なうわさばかり流れてましたし。でも、実際受けてみると簡単にできるし、検査をすることによって自分が今まで頑張ってやってきたことが認められるんだという認識も出てきました。

現在は母校の山梨学院大学で研究員として活躍される傍ら、アンチ・ドーピング活動の取り組みにも携わっていらっしゃいます。現役選手のときと現在と意識が変わった点はありますか?

萩原智子さん選手だった初めの頃はドーピング検査に対してステイタスも感じていたけれど、反面、すごく勘違いもしていました。どうしても監視されているという印象が強かった。それがある時、私は体が大きかったので「萩原さん、ドーピングしてるんじゃないの?」っていう中傷を受けたことがあったんです。これはきちんとドーピング検査を受けて、しっかり潔白を証明してもらわねばと。そのためにもドーピング検査は大事なんだと改めて経験で学びました。“監視”と感じていた検査員の方たちは、選手をしっかりガードすることで実は選手を守ってくれているんですよね。それが実感としてわからなかった頃はお礼も言えなかった。今、アンチ・ドーピングに関するいろんなことを勉強させてもらっていますが、ドーピング検査をエスコートする側と選手の間のコミュニケーションも、選手のアンチ・ドーピング理解を促進するための今後の大切な課題だと思います。

アンチ・ドーピング啓発に関して具体的にどのような活動をされていますか?

多くの人にアンチ・ドーピングの考え方を広めていくために、現在DVDを作成しているところです。私も出演して自身のドーピング検査体験や考えについてお話させていただきました。選手としての現役を終えてから私自身が行っている取り組みに『笑顔の普及活動』があります。スポーツをしていると、目標ができることや、それに向かって頑張ること、また仲間ができたりすることで選手は自然と笑顔になれる。笑顔が素敵なのがスポーツの魅力の一つだと思います。ドーピング検査を受けることで一生懸命やってきたことが証明されて選手の笑顔がより輝いてくる。アンチ・ドーピングと私の『笑顔の普及活動』とは繋がっていると思うんです。アンチ・ドーピングの考え方や知識を広めることでたくさんの選手の笑顔を見ていきたいと思っています。

ありがとうございました。

(聞き手:日本アンチ・ドーピング機構広報部会 片上千恵)

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